根室湾岸ドライブ
Date: 2021/9/19
Station
2021年の旅において、旅の休憩場所である「道の駅」は大きな役割を果たしています。トイレや休憩のみではなく、ご当地グルメが楽しめたり、地域のことを知れたり、はたまた温泉に入れたり、宿泊ができたり。北方領土を望むこの地域でも、羅臼・尾岱沼・根室と3か所に「道の駅」があります。
一方で現在では役割を終えた駅もあります。代表的なのは、かつては日本全国に張り巡らされていた鉄道。この地域にも平成の始まり頃まで走っていた標津線の駅がありました。それだけでなく、鉄道以前に交通・物流を支えていた移動手段の駅があります。
- 前回記事の振り返り
- 尾岱沼温泉に宿泊した後、「別海町観光船」に乗って、野付半島・トドワラへ向かい、トドワラらしい景色である枯れ木とゴマフアザラシを見ることができました。
北方領土を望む根室湾岸ドライブ
尾岱沼漁港に戻ってきました。この後は国道244・243・44号線を経由して、北海道本土の東端である根室市へと向かいます。
このうち、本別海までは根室湾沿いの道路であり、北方領土・国後島を左に望みながらのドライブとなります。もちろんよそ見運転はいけませんが、快晴ということもあり、快適な「インプレッサ」で見晴らしの良いドライブが楽しめそうです。
ここで、ルートを確認しておきましょう。途中で、「道の駅おだいとう」・「風連湖」・「奥行臼駅逓所」に立ち寄りながら、納沙布岬を目指すルートです。
道の駅おだいとう
尾岱沼漁港からして間もなくすると「道の駅おだいとう」に到着しました。晴れ渡る空の下、根室湾に面した小さな道の駅です。
1階にレストラン、2階・3階には「別海北方展望塔」が整備されており、北方領土の歴史などを学び、また北方領土を望むことが出来るように造られています。
ということで、まずは2階に行き、北方領土の歴史を学びます。その後、3階へ上り、北方領土を眺めます。ただ、先ほどまで尾岱沼の観光船に乗って見た国後島と比較すると必然的に小さく見えるのは仕方がないところです。
なお、入口付近にも「四島への道叫び」像が設置されており、北方領土早期返還を叫び続ける国民の総意を表しています。なお、これは道の駅が開設されるよりもはるか前に設置されたものであるようです。
戦後75年以上が経過し、近年では北方領土問題について取り上げられる機会というのが少なくなっているような気もしますが、すぐそこの島である当地域における「北方領土」というのは、札幌や東京の目線とは大きく異なるのは間違いのないことでしょう。
北方領土についての学びを得た後は1階のレストランフロアでべつかい牛乳を使ったソフトクリームを購入します。ソフトクリームはもちろん濃厚で美味しいのですが、コーンもなかなか美味しく、最高でした。
道の駅おだいとう
住所
〒086-1641 北海道野付郡別海町尾岱沼5−27
営業時間
9:00~16:00 (火曜日定休)
※7・8月は無休。5月~10月は1時間長い17:00まで営業しています。
公式サイト
風連湖
ソフトクリームを頂いた後は出発します。引き続き、根室湾沿いに車を走らせ、国道が風連湖に沿って右にそれる本別海地区まで向かいます。本別海地区からは風連湖方面へ延びる道路に転じて、終点にある「風連湖畔公園」へと向かいます。なお、この区間は見晴らしの良い直線道路でスピードが出しやすい区間ですが安全運転で走ったつもりです。
道路の終端が「風連湖畔公園」となっていますが、その手前に規模は大きくないものの集落があることには少し驚かされます。そして、もう一つ驚いたのは風連湖畔公園に大勢の人がいること。てっきり静かな場所を想像していたのですが、釣り客で大賑わいしていました。
風連湖についても簡単に解説をしておきます。
風連湖
風連湖は根室半島の付け根部分に位置する汽水湖で、西岸・南岸は台地、(今いる)北東岸は砂州により成立しています。周囲には湿地帯が広がっているため、タンチョウや水鳥の住処となっているほか、白鳥やエゾシカの越冬地ともなっているそうです。
それでは風連湖を眺めてみます。湖畔公園のある場所は対岸がとても近い場所にあるため、対岸がよく見えます。また、穏やかな水面は、ここが湖であることを教えてくれるような気がします。
風連湖ではあまり滞在時間は取らず、次の目的地へと向かいました。
奥行臼
風連湖沿いに北上して再び国道244号線を根室方面に進みます。昨日も通った区間ですが、やはり晴れているのと雨が降っているのとではドライブの楽しさ度合いに大きく差があるというのを強く感じます。
しばらく走ると国道243号線との交差点がある「奥行」地区に到着します。国道244号線はここまでで、この先は国道243号線で根室方面に行くか、別海町役場・中標津方面に行くしかありません。ただ、今回はこの奥行地区にある交通公園に少しだけ寄り道をしてみることにしました。
交差点を右折し、国道243号線を別海町役場方面に向かってすぐのところに駐車場があるので、こちらに車を止めて、周囲を散策することにしました。
案内に則り、まずは「奥行臼駅逓所」に立ち寄りました。こちらは国指定史跡となっている場所でもあります。「駅逓所」をご存知ない方もいらっしゃると思いますので簡単に解説を載せておきます。
駅逓所
駅逓所は、明治期から昭和初期にかけて北海道内にあった宿泊・人馬継立・郵便業務を担う施設のこと。江戸時代における本州の宿場に近いものである。道内にはピーク期で600以上の駅逓所が置かれましたが、交通の発展と共に、戦後の1947年(昭和22年)に全廃されました。
ここ「奥行臼駅逓所」は1910年(明治43年)に開設され、1930年(昭和5年)まで駅逓として機能した施設で、別海町にかつて9か所あった駅逓のうち、唯一現存する施設とのこと。駅逓制度が廃止された後も旅館として機能していたらしく、ゆえに保存がなされているのかもしれません。
奥行臼駅逓所を見た後、少し進むと「JR奥行臼駅」があります。奥行臼駅は旧JR標津線の駅で、1933年(昭和8年)に開設され、1990年(平成2年)に廃止されました。現在でも駅舎及び線路などの保存が為されており、当時の雰囲気を懐かしむことが出来るようになっています。
ここの特徴は何といっても線路も含めて保存されているということ。駅舎が保存されているケース、駅舎と車両が保存されているケースなどは見かけますが、ここでは駅舎と駅前後の線路が保存されており、まるでタイムスリップしたかのような、あるいは今も列車が走っているローカル線のような、雰囲気を楽しむことが出来ます。
保存状態が良いということと、隣接して「駅逓所」・(うっかり行きそびれてしまったのですが)「旧別海村営軌道風蓮線奥行停留所」と過去の交通を思い起こす施設があるということで、今年、別海町ではこの駅周辺を史跡公園として整備する方針を決めたとのこと。現在の状態も良いですが、将来にわたって、過去の別海の交通を支えた歴史を伝える施設となるのも、また楽しみでもあります。
奥行停留所というのに行きそびれていることには旅行時は全く気が付かず、線路を伝って、車を止めた場所へと歩いて戻りました。駐車場にはトイレも設置されているので、トイレを利用して、いざ根室へと出発します。
- 次回予告
- 最東端・根室市で食と景色を楽しみます。
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