網走監獄探索記(後編)
Date: 2021/8/29
網走監獄を代表する歴史的建造物
引き続き、網走監獄内を探索します。監獄歴史館にて中央道路建設の歴史を学んだ後は国の重要文化財となっている「旧網走刑務所 二見ヶ岡刑務支所」へと向かいます。
旧網走刑務所 二見ヶ岡刑務支所
「二見ヶ岡刑務支所」 は網走刑務所の農園作業を先導する施設として、1896年(明治29年)に網走市街地西方の丘陵地に「屈斜路外役所」として設置されました。その後、網走湖と能取湖の二つの湖を願望できる位置にあることから「二見ケ岡刑務支所」として改名されまし。
刑務支所は、受刑者への食糧供給を担う場所として、また広い農場で受刑者が自立的に農産物の管理・生産・収穫までを行う開放的処遇施設として重要な役割を果たしました。現存する木造刑務所としては最古であり、1999年(平成11年)に博物館内に移築されました。
入口部分にある庁舎は小規模な洋風建築です。その後、右側には教誨堂、左側には食堂が現れます。丁寧に人形が置かれ、臨場感があるような施設となっていました。
そして、一番奥にあるのが「舎房」です。東に第1舎、西に第2舎が置かれていますが、創建当初は北側にも舎房がありT字型であったそうです。中央には見張所が置かれています。
舎内には六畳間の雑居房が各20房おかれていて、通路と房の間の壁は中央を木製扉、両脇断面を平行四辺形とし竪格子で上部に木製竪格子付きの窓が付いています。
この他にも様々な施設が残されておりゆっくりと見て回りました。また、刑務支所を出てすぐのところに「高見張り台」があったようですが、こちらはうっかり見逃してしまいました。
ということで次の施設へ向かいます。お次は「舎房及び中央見張所」で、網走監獄を代表する施設です。
舎房及び中央見張所
国の重要文化財にも指定されているこの建物は、網走監獄を代表する舎房です。1909年(明治42年)の火災で、当初からの並列型舎房が消失した後、1912年(明治45年)に再建された放射状の舎房です。
中央見張りを中心として、雑居房・独居房・鎧格子・矢筈格子といった独特の建築技法を採用しており、1984年(昭和59年)まで使用されました。明治時代の獄舎の名残をとどめる施設としては国内最大規模で、特に木造監獄としては日本最北端の現存施設であるそうです。
それでは中に入ってみましょう。入ってすぐ目に付くのが「中央見張り」です。
各々の舎房を見てみましょう。通路の真上は光が差す構造になっているため、暗さは感じません。
網走監獄の展示で有名なものの一つに脱獄囚がいます。学生時代に友人たちと来たときはげらげらと笑ったような記憶があります。
昭和の脱獄王「白鳥由栄」
この脱獄囚、実在した人物をモチーフとして造られています。その人物こそ「昭和の脱獄王」と呼ばれた「白鳥由栄」です。延べ5回の収監がされ、最後の模範囚として仮釈放された最後の1回を除く4回の脱獄歴があります。
この網走にも収監され脱獄した経歴がありますが、網走では「みそ汁で鉄を錆びさせて脱獄する」という手口で脱獄。並大抵の脱獄囚ではないようです。
続いて向かったのは「浴場」です。刑務所は大勢の人々が寝食を共にし、また現在と比較すると衛生環境も十分とは言えないなかでしたので、感染症や皮膚病も流行しやすく、とても大切な施設であったようです。そして、これは今も同じではありますが、受刑者にとっては数少ない憩いの時間でもあったようです。
浴場内の様子もみてみることにします。施設自体は広いものの、もちろん見張りがいて、集団で時間を決めての入浴なので、しっかりと落ち着くことは出来ないのでしょう。もちろん刑務所ですのでやむを得ないものだとは思いますが。
続いての施設は「煉瓦造り独居房」です。国の登録文化財に指定されています。
煉瓦造り独居房
明治時代、監獄内の規則を守らない人に対しては、食事の量を減らして、一定期間生活させるという懲罰があったそうです。この独居房も懲罰房として機能しており、窓のない狭い房に収監することで、反省を促すという厳しい懲罰でした。
独居房の隣にあるのは「樺戸集治監の懲罰房」です。樺戸集治監は今の月形刑務所にあたり、北海道開拓において最も初めに建設された刑務所です。これはそのうちの懲罰房の再現施設となっています。房の外からは一切の光が入らないようになっており、また7昼夜「重湯」しか与えられない、というのが監獄規則に違反したときの懲罰でした。
なお、先の独居房がレンガ造りで、こちらが木造という違いもありますが、それは網走監獄の収監者にはレンガ造りへの知見が長けた人物も収監されていたことが要因であるとのこと。
網走監獄も終盤になってきました。続いては国の重要文化財に指定されている「教誨堂」です。
教誨堂
受刑者たちに対して、精神的、倫理的、宗教的な強化指導を行うための場所です。明治時代の火災により、網走監獄の主要な建物は消失しましたが、その後、復旧・再建を行うにあたり、受刑者たちはこの建物を「神仏の宿る場所」としてほかの建物よりも精魂込めて造ったと言われています。
中も入って見ます。舞台は戦後に造られて、演芸会や映画会が催され、受刑者たちの憩いの場となりました。
この近くには「釧路監獄署網走囚徒外役所正門」の再現施設があります。網走に初めて監獄が設置された時の正門ですが、当時の門はこのように木造でかつ、きわめて脱獄しやすく、侵入しやすい施設であったため、のちに煉瓦造りの正門へと変わっていきました。
最後に紹介するのが「哨舎」と呼ばれる施設です。博物館内に数か所移設されていますが、いずれも国の登録文化財となっています。
哨舎
哨舎とは見張り所のことで、外部からの侵入や受刑者たちの監視を目的に建設されました。各刑務所により様々な形で造られ、網走では8か所設置され、概ね1985年(昭和60年)頃まで使われました。
館内にあるほかの哨舎も合わせて紹介します。まずは二見ケ岡刑務支所近くの哨舎。
そして、裏門近くの哨舎です。こちらは少しデザインが違います。
これにて網走監獄の探索は終わりとなります。
博物館網走監獄
住所
〒099-2421 北海道網走市呼人1−1
営業時間
9:00~17:00
入館料
大人1,100円
(※)ウェブサイトにクーポンがあり、クーポンを提示すると10%割引となります。
公式サイト
見学し終えた頃には13時半を過ぎていました。お昼は「監獄食」がいただける「監獄食堂」にしようかなと思ってもいたのですが、今がっつり食べてしまうと夜が大変かな、と悩み、今回は結局はいらないことにしました。
参考までに、監獄食堂のメニューも載せておきます。
- 13:35
- 「網走監獄」を出発。
軽めのランチを
軽めにハンバーガーとかを食べたいなと思い、Googleマップで検索をかけます。いくつかハンバーガー屋さんはあるようですが近くにはあまりなさそうなので、道の駅に行くことにしました。
- 13:50
- 「道の駅流氷街道網走」に到着。
館内に入ります。2階のレストランも心惹かれますが、時間は既に2時ごろで、5時過ぎには夕飯を食べようと思っていたので、入らずにフードコートコーナーへと向かいます。
何を食べるか迷いましたが、「網走バーガー」を注文しました。
網走産の長芋と金印わさび、カラフトサーモンと網走産に拘ったフィッシュバーガーです。野菜もしっかり入ったあっさりめのバーガーで、小腹を満たすにはピッタリの一品でした。
道の駅流氷街道網走
住所
〒093-0003 北海道網走市南3条東4丁目5−1
営業時間
9:00~18:30(10月~翌3月は18:00までの営業。年末年始休業)
- 14:05
- 道の駅を出発。
ホテルのチェックインは15時からなのであと1時間ほど時間を潰します。本当であれば「流氷館」や「モロロ貝塚」など行きたい場所があるのですが臨時休業中であったため、能取岬へと向かうことにしました。約20分の道のりです。
- 14:25
- 能取岬に到着。
オホーツク海に突き出す岬
能取岬は網走市街地から北に進んだところにある「オホーツク海」に突き出す岬です。北はオホーツク海、西には能取湖や常呂町、東には知床連山を眺めることが出来ます。
駐車場に車を止めて、灯台の方面へと向かいます。少し歩くと灯台に着きますが、灯台のすぐ先はもちろんオホーツク海。海と合わせて、写真を撮ってみることにします。
最も奥には「オホーツクの塔」があります。開拓漁民たちの業歴を讃え、水産日本の発展を祈願して建てられた塔であり、オホーツクの漁民と(頭上の)鮭の像から構成されています。
- 14:45
- 能取岬を出発。
- 次回予告
- 今夜は網走のドーミーインに宿泊します。
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