続・琉球八社#3

普天満宮と金武宮

Date: 2025/1/12

今回の旅2日目の朝は生憎の曇天。のんびりと起床して、朝からひとっ風呂。東横インのユニットバスとはいえ、朝から入る風呂は格別です。

10時過ぎにホテルを出発して、近くのタイムズカーシェアで車を借ります。余談ですが、最近カーシェアを利用していなかったせいか、あっという間にランクが落ちていました。

A&W 牧港店

今回の目的地は普天満宮(宜野湾市)と金武宮(金武町)なので、まずは国道58号線を北上します。新しくなったブルーシールに若干の興味は惹かれつつも、この肌寒い日に朝イチでアイスを食べる気分にはならなかったので、ブルーシール本店から少し行ったところにある「A&W牧港店」で朝食とすることにしました。

お昼前の11時頃でしたが、店内に入ると、観光客を中心に多くのお客さんで賑わっていました。席の確保に若干の不安はあったものの、ひとまず注文列に並び、「The A&Wバーガー」(840円)の「スーパーフライコンボ」(460円。ドリンクはMサイズ)を注文しました。なお、エンダー(A&W)といえばルートビアが有名ですが、個人的にはそこまで好きではないので、いつもコカ・コーラを注文しています。

注文後、席で少し待っていると、バーガーとスーパーフライがやってきました。相変わらずの、美しく、ボリューミーなハンバーガーには心躍ります。本当はこのバーガーをビールで流し込みたい気持ちです。昨年は恐らく食べなかった(A&Wには行ったけれど朝食メニュー)気がするので、久しぶりのエンダーに大満足です。

普天満宮

食後は再び58号線を北上して、伊佐交差点で右折し、普天間の街を目指します。「普天間」といえば、アメリカ軍の普天間基地で有名ですが、元々は琉球八社の一つ・普天満宮の門前町として栄えた街でもあります。

琉球八社とは、琉球王府から特別の扱いを受けた8つの神社-波上宮、沖宮、識名宮、普天満宮、末吉宮、安里八幡宮、天久宮、金武宮ーをさします。琉球における民間信仰は御嶽拝所が多くを担っていたものの、なかでも波上宮と今回訪れる普天満宮は、地元住民の民間信仰を集めていたことで知られています。

さて、車を走らせ、普天間の街に近づくと普天間の三叉路手前から激しい渋滞に巻き込まれます。これは普天満宮の駐車場への並び列で、かれこれ20分弱は待つことになりました。ようやく駐車場に誘導され、車を止めた後は、まず普天間宮隣の「普天満山神宮寺」を参拝します。

琉球八社は「神社」ではありますが、すべての神社に寺院が併置されています。普天満宮も同様で、普天満宮に併置する寺院として、真言宗の「普天満宮神宮寺」が建立されているのです。

続いて、普天満宮を参拝します。普天満宮は、普天満宮洞穴に琉球古神道を祀ったことに始まり、15世紀中ごろ(なお、同時に建立された神宮寺は1459年とされている。)に熊野権現を合祀したことで、創建されたものと言われています。

多くの地域住民の信仰を集めている社だけあって、社務所はかなりの大混雑でした。今回は、拝殿に参拝し、諸国平和などを祈らせていただきましたが、境内奥の洞穴「普天満宮洞穴」の内部に奥宮が祀られているようなので、こちらも見どころです。ただし、正月期間中(2025年の場合は1月1日から13日(成人の日))は奥宮の見学ができないということなので、次回への宿題を残すことになりました。

普天満宮の後は、琉球八社の最後「金武宮」へ向かいます。普天間から金武までは高速道路を使うと30分ちょっとで行けますが、この日は時間にも余裕があったので、下道で向かうことにしました。

本島中部東海岸は勝連城跡与勝半島などに訪れたことはありますが、コザ以北の国道331号線沿いは高速道路での通過したことしかなく、新鮮なドライブです。

しばらくは片側2車線の道が続きますが、金武町に入るところから、片側1車線となります。1車線になったあたりから、進行方向右手には太平洋の美しい海が見えるので、景色を楽しみながら、のんびりと向かいます。金武町中心部の手前で金武バイパスと分かれ、金武町中心部にある金武観音寺へ向かいます。

金武宮・金武観音寺

国道から1本奥に入った場所に「金武観音寺」はあります。金武観音寺の向かいに駐車場が用意されているので、こちらに車を停めて、お参りします。

境内に入ると、樹齢350年超のフクギの木に迎えられ、木々を抜けると立派な本堂があります。沖縄県内の寺社の多くは、第二次世界大戦中に消失してしまったものの、こちらの本堂は1942年(昭和17年)に建設された戦前の建設様式を残す貴重な建物となっています。

金武観音寺には鍾乳洞があるので、お参りした後は「日秀洞」と呼ばれる洞窟・鍾乳洞に入ってみます。地上近くの階段はかなり急で足元が不安定なので、気を付けて下ります。少し降りると、「熊野三所権現」があります。

意外と思われるかもしれませんが、琉球八社に数えられるの「金武宮」とは、まさに、この熊野権現さまなのです。今はもちろん、創建以来、「金武宮」に社殿は設けられていないようです。

普天満宮のところでも触れたように、琉球八社とは琉球王府から特別な扱いを受けた神社とされていますが、金武宮は神職が置かれなかったため、琉球王府からの経済的な援助は受けていませんでした。

それでも琉球八社と言われる所以は、「金武観音寺」にあるとも考えられます。それは、琉球における仏教は臨済宗がメインであったなか、真言宗寺院にも王府から寺禄を給された8つの寺院があり、それが琉球八社に併置された寺院なのです。

熊野権現の向かいにはかなり笑顔そうな神様がいらっしゃいます。そして、さらに下へおりると、水天もいらっしゃいます。鍾乳洞自体はこの先もさらに奥へ奥へとあるようなのですが、現在立ち入りができるのは、この水天さまがいらっしゃるあたりまでとなっています。

行き当たりまでたどり着いたら、ここで折返して、地上へと戻ります。「金武宮」訪問により、2年前の六社と合わせて、琉球八社すべてを訪れることができました。こうして「琉球八社」を訪れることで、そう呼ばれるようになった経緯や琉球における宗教史なども知ることができ、沖縄への理解も少しだけ深まったような気がします。

(続く)