日高の鉄路#1

2021/3/26

北の大地・北海道にも徐々に春が近づいてきました。私の住む札幌市内も雪が解け、その嬉しさからか出勤前に気軽に自宅周辺を散歩してみたり、と。春の訪れがこれほどに嬉しかったのははじめてかもしれません。雪国における「春」はそうでない土地の「春」とは違ったものであるように感じます。

春。出会いと別れの季節でもありますが、今年は昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響もあり、歓送迎会は必要最低限というところも多いのでしょう。尤も私の職場では、コロナ以前より公式な飲み会が行われていませんので、後輩と二人で飲みに行ったりという程度ですが。


今回、私は春の日高路へ。「春うに」と令和3年3月末で正式に廃線となる「日高本線」の面影を辿る旅へ向かいます。なお、当初は「春うに」を目当てに行ったのですが食べられず仕舞いで、結局、何か今の時期にしかできないことをしようと後付けで日高本線の旅になっただけなのは秘密です。

札幌駅からは特急列車で苫小牧へ。

日高の玄関口である「苫小牧」まではJRの特急「すずらん」号を利用しました。初めて乗る列車ですが、札幌から千歳・苫小牧・白老を経て、室蘭までを結ぶ列車です。

お昼は札幌駅の駅弁。

札幌駅弁名物「四季のこだわり駅弁シリーズ」の「春便り」を購入しました。札幌駅弁は「石狩鮭めし」など通年発売のメニューを買われる方が多いですが、この「四季の駅弁」シリーズは季節の味が楽しめるうえ、メニューも豊富で少しずつ食べられる隠れた名物だと思っています。

春便り。開封してみると。

見栄えからも春を感じさせる素晴らしい出来栄え。本当はこれにお酒を合わせると完璧なのですが、今日は運転する予定なので、お酒は我慢です。


苫小牧には約1時間で到着しました。北海道の広さを表すのに、札幌と函館や釧路・網走・稚内などとの距離が使われることが多いですが、意外と遠いのが札幌から千歳・苫小牧だと思っています。とはいえ快適な特急列車なので、苦はありませんでした。

日高本線の発車案内を見ながら。

苫小牧駅からはちょうど、日高本線様似行き(正確には鵡川行きで、鵡川からバス代行となる様似行き)が発車しますが、今回はこの列車には乗りません。

タイムズのカーシェアを利用していざ出発。

何で移動するかというと、タイムズカーシェア。直前にレンタカーを予約しようとしたら空いていないようだったのでカーシェアにしました(なりました?)。

苫小牧市街からは日高方面へ車を走らせます。現在、苫小牧から日高管内・日高厚賀までは日高自動車道が整備されていますが、今回はのんびり旅ということで、下道で向かいます。途中、鵡川にある道の駅に立ち寄り、その後も太平洋沿いの道を進みます。


清畠駅

3月末で廃線となる日高線の駅が国道沿いにあったので立ち寄ってみることにしました。

廃線と転換バスの案内

各駅には代行バスの運行終了と転換バスの運行開始についての張り紙があります。転換バスの概要・詳細なダイヤが発表されたのはつい最近であることや、路線バスとの統合で公共交通の本数自体は一部減少することなど、色々気になる点もありますが、インフラを維持することの難しさを感じます。

ホームの様子

鉄道はすでに走っていないものの、最低限のメンテナンスが行われているのでしょうか。雑草が生い茂っているということはないようです。

苫小牧方面の鉄路

こんな太平洋沿いの鉄道。乗ってみたかった。そんな気もします。

駅名標

駅名標自体はとても綺麗です。

清畠駅前を走る代行バス

ちょうど代行バスが通ったので1枚写真に収めました。


清畠駅を後にして、日高路を更に南下していきます。車を走っているうち、収集癖があるからでしょうか、折角だし全駅回ってみようかと思い立ち、次の駅・厚賀駅にも立ち寄ることにしました。

厚賀駅

大きな木が駅前にある厚賀駅。自治体の中心というような場所ではありませんが周辺には集落が密集しています。これは様似まで巡って感じたことですが、日高地方は確かに人口は多くないのですが、北海道内で言えば「街」がしっかり形成されている地域なんだなあということ。

厚賀駅構内

街は駅前側・海側に広がっていました。鉄道が正式になくなると国道からのアクセスは良くなるかもしれません。

駅名標

この先の区間が廃線の原因でもある高波被害を大きく受けた区間です。

苫小牧駅で見送った様似行きの列車(代行バス)

駅で過ごしていると代行バスがやってきました。こちらは苫小牧駅に表示されていた様似行き列車の代行バスです。


次は太平洋に面した駅へと向かいます。素敵な旅の景色と現実の寸断された鉄路を見に。

(つづく)


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