道南探訪#6

江差の五月は江戸にもない

Date: 2025/6/8

現在の江差町は、檜山振興局の振興局所在地ではあるものの、鉄道も廃止され、航路も一日一往復の奥尻島便のみ、高速道路も通じていない道南の港町ですが、かつてはニシン漁と北前船の交易によって、絶頂期には江戸をも凌ぐほどの繁栄と賑わいをみせ、ニシン漁の盛期には「江差の五月は江戸にもない」と言われるほどであったといわれています。

今回の旅の最終日はこの江差町を観光することにします。徐々に晴れてくる予報なので、まずは江差追分会館で江差の文化を学ぶことにします。

江差追分会館は、江差町の伝統芸能である「江差追分」、姥神大神宮渡御祭の「山車」に関する展示をしている施設です。まずは「江差追分会館」からみていきます。

江差追分とは、江戸時代中期以降、信濃国追分宿の馬子唄が北前船の船頭たちによって伝わったとする民謡(諸説あり)です。展示室では、この江差追分の歴史を学ぶことができます。

また、併設されている江差山車会館は、北海道最古の神社とも言われる江差町・姥神大神宮の例大祭で使われる山車を展示している施設です。

例大祭は、「姥神大神宮渡御祭」と呼ばれ、17世紀中期から400年近い歴史を誇る、こちらも北海道最古とも言われるお祭りです。北前船交易の影響から京都・祇園祭の文化を受け、御輿渡御に続いて、山車が町を練り歩く形で、毎年8月9日~11日にかけて行われます。

えさし海の駅開陽丸

外に出ると海の方面が晴れていたので、続いては港付近を散策します。向かうは陸続きの鷗島ですが、手前にある「えさし海の駅開陽丸」に立ち寄りながら向かいます。

開陽丸とは、幕末期に幕府海軍に所属していたオランダ製軍艦です。当初は外国勢力への抑止力として導入されましたが、戊辰戦争のすえ、ここ江差沖で暴風雨に遭い、座礁・沈没しました。主力軍艦であった開陽丸の喪失は、戊辰戦争における勢力図にも大きな影響を与えたとも言われています。

令和7年秋より休館してしまいましたが、ここ江差港ではその開陽丸を復元した施設があります。青空の下、映える開陽丸ですが、当時はこれと真逆の景色だったことでしょう。

船内はさすがに展示用になってはいるものの、軍艦の復元ということで、大砲などが置かれていました。

開陽丸自体は閉館扱いではないので、いつかまた再開するのかもしれませんが、江差の数少ない観光名所の一つなので、ぜひ再開して欲しいところです。

鷗島

開陽丸を見学した後は鷗島へ向かいます。島の入り口には、いにしえより漁師たちの守り神として崇拝されている瓶子岩と鳥居があります。鳥居は島の山上にある厳島神社のものですが、こちらは10年ほど前に設置されたばかりのものらしいです。

海沿いに遊歩道が整備されているので、遊歩道、山の上を経由して、戻ってくることにします。

この鷗島、現在でこそ北海道本島と陸続きになっていますが、かつては単独の島でした。ただ、当時から江戸時代から北前船の係留場所にもなるなど、天然の良港として、江差の繁栄を支えた島であったそうです。

さて、山上へと歩みを進めます。稜線へくると、島で遮られていた海風が感じられて、とても涼しいです。白亜の灯台と青空、いい絵です。

それでは、江差市街地へと戻ることにします。階段を下る途中、江差市街を一望できるのですが、市街地よりも何よりも手前の海の綺麗さ。南の海もいいですが、北の海も穏やかな時はいいものです。もちろん、まだ寒いとは思いますが。

姥神大神宮といにしえ街道

旧市街へ戻ってきました。まずは先ほども触れた姥神大神宮を参拝します。

この姥神大神宮の向かいには横山家住宅があります。横山家はニシン漁で栄えた名家で、この横山家住宅はその横山家の住宅として、明治時代に(当時における)150年前の建築様式で再建された建物となっています。江差繁栄当時の様子がわかる建物ではあるのですが、現在は公開を休止しています。

いにしえ街道を歩いていると、「ぱんやBecky」というパン屋さんがあるので、ここでチーズカレーパンを購入ました。食べ歩きにはぴったりで、おいしかったです。

いにしえ街道の真ん中過ぎまで来ると、中村家住宅があります。こちらは現在も公開されている施設です。国の重要文化財にも指定されています。

最後に、「江差町郷土資料館」を見学します。こちらは、旧檜山爾志郡役所の建物で、その後は江差警察署などに使われ続け、現在では北海道内に唯一現存している郡役所建物とのこと。

2階からはいにしえ街道と江差港を眺めることができます。ちょうど訪れたときは、ハートランドフェリーが停泊していました。奥尻島はコロナ禍に行って以来、行けていないので、そろそろ再び訪れたいところです。

八寶

江差市街地を一通り観光したところで、ランチへ向かいます。江差といえば「にしんそば」ということで、ホテル近くにある「八寶」にやってきました。地元のお客さん中心にかなり繁盛している様子でしたが、店内は広く、カウンター席に案内していただきました。

にしんそばといえば通常、温かいそばのイメージですが、冷やしもあったので、暑さに負けて、冷やしを選択。お店の名物であるイカ天いなりと一緒にいただきました。

食後は午後の飛行機で帰らないといけないので、函館空港へと向かいます。

(つづく)