地のはて知床#6

知床観光船「おーろら」乗船記

2020/8/21

今日は知床半島の先っぽ「知床岬」へと観光船を利用して向かいます。知床岬には陸路で道路が続いていないため、一般人は観光船などに乗車して、海から見学せざるを得ません。

なお、行くことが禁止されているわけではないため、陸路で道なき道を進み、行くこと自体はできるようです。ただし、ヒグマの危険も多く、また道がないので相当の知識・経験・ノウハウが必要で、観光客にできることではありません。そういうわけなので、私は大人しく観光船を利用して、知床岬をお手軽に観光することにしました。

インターネットで知床観光船を調べると、小型船・大型船とあるようですが、今回は冬に網走で乗ったのと同じ「おーろら」号の大型船を利用しました。なお予約制ですが当日まで予約をしておらず、当日オシンコシンの滝から電話予約をしたのですが、こういう時勢だったからか無事乗船予約ができました。

道の駅ウトロから徒歩10分ほどの場所で受け付けができます。
当日の運航状況。知床岬航路と途中で折り返す「カムイワッカの滝航路」があり、観光シーズンにはそれぞれ2便・5便が運航されますが、予約状況から今日は欠航が多かったです。
こちらで料金を支払います。クレジット決済はできないので注意が必要です。

チェックインカウンターで料金(6,800円)を支払って乗船券を購入。ここからオロンコ岩のトンネルを抜けた先に、おーろら号が停泊しています。なお、車の場合はオロンコ岩トンネルを抜けた先にある町営駐車場(有料)に泊めることができます。

ウトロ港に停泊する「おーろら」号。

ここからは船から眺められる名所などを一つずつご紹介していきます。

オロンコ岩・ウトロ港

ウトロ港を旋回して出航する際にぜひ見ておきたいのがウトロ港にある(先ほど潜ってきた)「オロンコ岩」という巨岩。「オロンコ岩」は高さが60メートルにもなる岩で、頂上に登るとオホーツク海・ウトロの街並み・知床連山が一望できるウトロ随一の展望スポットにもなっているとのこと。

出航後、望遠レンズで撮影した写真ですが、凄い高さで圧巻です。こちらは前回紹介した「知床八景」の一つに選ばれているスポットです。
プユニ岬周辺。ここから見る景色も素晴らしく「知床八景」に選ばれています。
このような巨大な岩などが連なっていて迫力があります

フレペの滝

断崖から地下水が流れ落ちている滝で、ほろほろと流れて落ちることから「乙女の涙」とも言われている。フレペとはアイヌ語で「赤い水」のこと。硫黄や鉄分が含まれており、赤く見えたことからこう名付けられたとか。

この日は水量が少なかったです。

フレペの滝自体は観光船に乗らずとも知床自然センターから遊歩道が整備されているため、歩いて見に行くこともできます。今回は時間の関係で結局、遊歩道は利用しませんでしたが、エゾシカなどもよく現れる場所で、人気の遊歩道になっています。

「乙女の涙」のすぐ先にあるのが「男の涙」と言われる「湯の華の滝」
拡大するとこんな感じ。
さらに進むと岩尾別の浜辺が見えてきます。

クンネポール

岩尾別を過ぎると「知床五湖」の近くを通ります。この辺りの海岸にあるのが「クンネポール」と呼ばれる穴。岸壁の岩にぽっかりとした穴が数多にもあいているのですが、流氷や波が岩を侵食してできたそう。

いくつかの場所にこのような形で穴が開いています。
天気は何とも言えぬ天気でした。晴れると良いんですけれども…
このようながけ地の上に知床五湖があるというのは地上から五湖観光だけすると全く想像がつきませんね。

カムイワッカの滝

硫黄山から流れ出る「カムイワッカ川」は中腹からいくつもの温泉が流れ込み、硫黄を含んだ水が流れることで有名です。そのカムイワッカ川がオホーツク海に流れ出る場所にあるのが「カムイワッカの滝」です。なお、この少し上には、連続する滝つぼが露天風呂のようになっている「カムイワッカ湯の滝」もあります。

カムイワッカ川が流れ込む場所だけ色が少し違って見えました。(写真では伝わらず申し訳ありません)
滝のアップ写真。
こうしてみると、色の違い、辛うじて伝わるでしょうか。

ルシャ湾

ウトロと知床岬のちょうど中間地点にあるのが「ルシャ湾」。「ルシャ」とはアイヌ語で「浜へ降りる道」。知床半島のウトロ~知床岬間はほぼ断崖絶壁が続きますが、このエリアは浜辺が広がっており、知床連山の中でも谷の部分になっています。

また、ヒグマと共存する漁師番屋があることでも有名で。この日はルシャでヒグマは見れませんでしたが、比較的見れる確率が高いようです。

大型船の場合、至近距離まで近づくことはできないのが難点。ただし、この日は残念ながら望遠鏡を通してもヒグマを見ることはできませんでした。
滝は至る所に…
知床半島先端部にはいくつかの番屋があります。この番屋の奥にある滝は「チャラセナイの滝」と言われるそうです。

カシュニの滝

知床岬クルーズの往路も後半になりました。断崖から直接オホーツク海に水が注ぎ込む「カシュニの滝」。直前まで見ていた滝の落差が大きすぎるのと、(今年は全般的に)水量が少ないのとで、インパクトに欠けるような写り方ですが、実物はそれなりにインパクトがある滝でした。

この写真で見ると大きな滝には見えづらいですが。

この付近ではいくつかの岩に名前がつけられています。例えば、「観音岩」。これは私、完全に勘違いをしていたので、下調べは重要です。

確かに観音様のよう・・・?
そうではなく、こちらのことでした。(全体の写真を拡大処理した写真です)

この付近を過ぎると、徐々に山の標高も低くなってきて、知床半島の先端まであと僅かな地点まで来ているのだなと感じます。知床岬までの残りの時間は、案内にある「メガネ岩」や「獅子岩」がたぶん此れだろう?いやこっちかな?などと写真を撮りながら過ごしました。

知床岬もあと間もなくです。
こちらはメガネ岩。
こちらは獅子岩。

知床岬・国後島の眺望

そして観光船はついに知床岬へと接近します。もちろん上陸はできないので、海上からの見学ですが。

知床半島最先端の知床岬。無人の灯台が一つあるのみの場所。奥には国後島が見えます。

ここまでくると、国後島がくっきりとみることができます。こうして改めてみてみると、「近くて遠い島」なんだなという感想と「国後島って大きいな」と感じました。もっとも、今は台北やソウルだって気軽にはいけない時代ですが。

国後島の北側
国後島中部
知床岬で折り返してウトロ港へと向かいます。

船内紹介

この観光船の所要時間は約3時間45分ということで、知床岬付近に着いたのはお昼の正午ごろ。いくら朝ごはんをたくさん食べたとはいえお腹が減ってきたので、売店で軽食を買うことにします。なお、お弁当などは販売していないので、事前に購入して持ち込む必要があります。

飲み物・菓子スナック類や知床関連グッズが販売されています。
オホーツク和牛豚まん(300円)
展望デッキ
2階特別客室。この日は自由席として開放されていました。
2階の一般フロア。
1階客室。帰りは横になって寝ている方もいらっしゃいました。
1階客室の後方部。
展望デッキにはこんな撮影ポイントもあります。

知床連山

さて豚まんを食べた後はゆっくり1階客室でも座って過ごそうかな・・・と思って1階客室へ移動しましたが、ちょっと勿体ない気がして、結局展望デッキへ戻ることに。往路と比べると人も少なく、快適に過ごせました。

徐々に天気は回復傾向であったため、知床連山も見えるようになってきました。

先端部。知床岬~知床岳付近では空も青空になってきました。
知床岳。気になったので帰ってから調べたのですが、羅臼岳などとは異なり登山コースとしても整備されていないようです。
岩尾別付近から眺める知床連山。雲がかかっているのが残念ですが、それはそれで趣深さもあるような気がします。

岩尾別付近も過ぎ、ウトロの町が近づいてきました。3時間45分の船旅ではヒグマなどの野生動物は見れなかったものの、知床岬など先端部の景色を眺めることができ、非常に良かったです。次回は小型船にも乗船してみたいなと強く思いました。

ウトロ港にはもう一つの「おーろら」も停泊していました。
オロンコ岩を抜けた先にある「ゴジラ岩」。行きは反対側からで隠れていて気が付きませんでしたが、まさに、ゴジラ。

充実した船旅。とはいえ、もう14時とお腹が減っているので、お昼ごはんを食べて、次の目的地へと向かいます。

(続く)


関連記事