熊野参詣#2

中辺路と熊野本宮大社

2024/11/3

川湯温泉→熊野本宮→発心門王子

宿の送迎サービスで発心門王子まで向かうこともできますが、今回は路線バスを利用します。まずは川湯温泉から熊野本宮まで奈良交通の特急バス大和八木駅行きに乗車します。

このバスはフリーきっぷの対象外ですが、新宮駅から奈良県の大和八木駅を結ぶ日本最長の路線バスとして有名な路線バスです。

熊野本宮で発心門王子行きの龍神バスに乗り換えます。このバスはフリーきっぷで乗車できます。このバスは、三連休の中日ということで需要が多いためか、2台体制での運行でした。もっとも日本人客よりも外国人客の方が目立つので、インバウンド需要なのかもしれません。

熊野参詣道中辺路・発心門王子

発心門王子バス停から発心門王子までは歩いて5分ほど。熊野本宮方面とは逆方向になりますが、折角なので、発心門王子へと向かいます。

「発心門王子」は熊野九十九王子のなかでも格式の高い「五体王子」の一つです。発心門は「菩提心を発す門」の意味で、ここから熊野の聖域の入り口を意味します。ちなみに、九十九王子は、熊野古道沿いにある熊野参詣者の守護を祈願して造られた熊野権現の子神を祀る神社です。

それでは、今回の旅の安全を祈願して、発心門王子を発つことにします。

いったん、発心門王子バス停までは来た道を戻ります。バス停横のトイレ・休憩所は綺麗かつこの先しばらくないので、必要な場合は利用しておくのが良さそうです。その後は山あいの集落内の道を歩きます。

水呑王子

発心門王子から30分弱で「水呑王子」に到着しました。

水飲み場ではなく、熊野に参詣した藤原宗忠が「内水飲王子」と記したことに由来しています。「内水飲」とは、二日前に宗忠が宿泊した「水飲仮屋」に対して、発心門の内側(本宮側)にあることを意味しています。

水呑王子跡からは山道に入ります。森林のなかの道は歩いているだけで癒されます。紀州・和歌山らしい実のなった木もいい風情を出しています。

伏拝王子

続いて、「伏拝王子(ふしおがみおうじ)」に到着しました。

中辺路を歩いてきた参詣者が、初めて遠くに熊野本宮大社(現在の大斎原)が見えるため、そのありがたさから参詣者が伏して拝んだことからこの地の名が付いたそうです。

こちらには茶屋があり、軽食もいただくことができます。お腹はいっぱいでしたが、紫蘇ジュースが売られていたので、こちらを一杯いただきました。とてもさっぱりします。

三軒茶屋跡

伏拝王子からしばらく下ると「三軒茶屋跡」に到着しました。ここは中辺路と小辺路の分岐点で、かつては茶屋がおかれ、多くの旅人たちでにぎわったそうです。ちなみに、小辺路は高野山方面と熊野を結ぶルートです。

ここからの道のりも風情があります。のんびり歩きながらこの道の「空気」を楽しみます。

しばらくするとルートから外れて「ちょっと寄り道展望台」というのがあるので、こちらに立ち寄ります。この展望台からは、大斎原の大鳥居がよく見ることができます。素晴らしい眺めです。

祓殿王子

展望台から中辺路に戻るルートはかなり急な坂なので足元に気を付けながら下ります。中辺路に戻ると、すばらしく風情ある道です。これぞまさに熊野古道のイメージ通りです。

古道から本宮の街に入ると、「祓殿王子(はらいどおうじ)」に到着しました。熊野本宮大社の手前にあり、熊野参詣者はここで旅の汚れを祓って、熊野本宮大社に向かったそうです。私も心の穢れを落として、熊野本宮大社へと向かうことにします。

熊野本宮大社

中辺路沿いに来ると、裏手から熊野本宮大社に入ります。これは今の熊野本宮大社は、1889年(明治22年)に発生した大洪水の後に移転してできたことに関係しています。以前は現在「大斎原」と呼ばれている場所にありました。

裏手から入り、拝殿・本殿が見えてくると、黒いポストが目の前にあらわれます。これは「八咫烏ポスト」と言われるものです。

モチーフとなっている八咫烏は、(天・地・人をあらわす)3本の足を持ち、太陽の化身とされる烏のことです。八咫烏は、神武天皇を熊野から大和国橿原まで先導し「導きの神」となり、神武天皇の神武東征・日本建国に大きな役割を果たしました。熊野本宮大社における主祭神・家津美御子大神(素盞鳴尊)のお仕えであり、熊野を象徴するものとなっています。

八咫烏ポストの先には拝殿、本殿への入り口があります。まずは拝殿へと赴きます。ここにも「八咫烏」の像がありました。

さて、本殿に向かいましょう。神門をくぐり、本宮・結宮・若宮があります。左から「結宮」、「本宮」、「若宮」となっていて、ついつい大きな結宮に行きたくなってしまいますが、参拝の順番は「証誠殿(本宮)」→「中御前(結宮の右側)」→「西御膳(結宮の左側)」→「若宮」です。

本宮、結宮、若宮の順にお参りし、最後に満山社にもお参りします。

階段を下り、大鳥居までやってきました。バスなどで来る場合はこの大鳥居から参拝します。ちなみに、大鳥居の前の道路を渡ると、バスの発着する熊野本宮館です。

大斎原

熊野本宮館の脇から日本一の大鳥居のある「大斎原」へと向かいます。大斎原は、明治の大水害が起こるまで熊野本宮大社がおかれていた場所です。

大鳥居へ行く前に「産田社」にも立ち寄ります。熊野本宮大社の末社で、八百万の神々を含む総てを産みださした産土の神「伊邪那美尊」が祀られています。何を産み出してもらおうかと思いながらお祈りします。

お参りした後は熊野川の土手の上を歩いて大鳥居を目指します。いい眺めです。

大鳥居の手前で降りて、と思っていたのですが、降りれる場所がなかったので、元のところまで戻って、大鳥居に向かいます。

大斎原には二基の石祠が建てられていて、左側の石祠が中四社および下四社を、右側の石祠が境内摂末社の御神霊を、それぞれお祀りしています。これは、水害後に熊野本宮大社が移転・復旧された際、上四社のみが再建されたためです。

朝ごはんはしっかり食べたのですが、しっかり歩いてお腹も減ってきたので、お昼にします。ただ、乗ろうと思っているバスまであまり時間がないので、「めはり本舗三軒茶屋 八咫烏長屋店」でご当地グルメのめはり寿司を購入して食べることにしました。

めはり寿司は熊野地方を中心に食べられている郷土料理で、高菜の浅漬けの葉でくるんだおにぎりです。味は濃いめですが、ビールとも相性がよく、とっても美味しかったです。ちなみに、ビールは近くのデイリーヤマザキで購入できます。