よなぐにの食
Date: 2025/4/13
比川で食べる「与那国そば」
与那国2日目。この日の与那国は朝から暴風雨だったので、自室で雨・風の音を感じながら、のんびりと過ごします。11時頃になり、雨はもう上がったようなので、ランチへと向かうことにします。
沖縄でのランチといえば、やはり沖縄そば。与那国島にも製麺所があり、ご当地・与那国の麺を楽しめる飲食店もあります。なかでも比川地区にある「わかなそば」と「さとや」が口コミの件数も多く、人気のようなので、比川地区へと車を走らせました。
2つハシゴしてもいいかなと思っていましたが、この日は「さとや」さんがお休みだったので、こちらの「わかなそば」でいただくことにしました。

「わかなそば」のメニューはシンプルで、そば以外はごはんと飲み物のみ。今回は並盛を注文しました。

しばらく待ってやってきたのがこちら。沖縄そばにしてはかなり白濁した豚骨スープが特徴的なビジュアル。「前盛そば」という与那国島にある製麺所の麺は、ストレートな太麺。
与那国島は八重山列島の一つとされますが、八重山そばとは雰囲気がだいぶ違います。
真ん中に鎮座する見るからに美味しそうなお肉は甘辛く煮付けられた豚肉。観光協会のウェブサイトによると、自ら育てた豚肉を使っているとのこと。

濃厚だけど優しさも感じる味わい。満足の一言です。
アヤミハビル館
離島における天気に恵まれない日の観光先はかなり限られますが、だいたいどこの島にも島を紹介する施設などがあったりするものです。
与那国島には、与那国島最高峰・宇良部岳の中腹に「アヤミハビル館」があります。アヤミハビルとは、世界最大の蛾「ヨナグニサン」を指す与那国の方言で、アヤミは「模様のある」、ハビルは「蝶」を意味します。

入口の前には壁画に、大きなアヤミハビルや与那国馬が描かれています。館内に入って受付します。入館料は500円です。

館内ではアヤミハビルのほか、与那国の歴史なども展示されていて、スタッフの方が案内・解説をしてくださいました。こちらは標本になるのですが、アヤミハビルの大きさ、伝わるでしょうか。
昆虫の標本に夢を持ったことはないのですが、好きな方はとても好きらしく、そのための乱獲が行われたこともあったようです。

ちなみに、祖納の集落にも天候不順時に楽しむ施設があります。それは「DiDi 与那国交流館」で、資料館と公民館を合わせた施設となっていて、与那国の祭事や観光スポットの紹介をしている施設です。ただし、この日は残念ながら休館日。外観のみ見学してきました。

さて、祖納にもどってきたので、ホテルの駐車場に車をおいて、市街地を散策していきます。
与那国の中心・祖納
与那国島東部の町・祖納。祖納は、与那国町役場もおかれる与那国の中心となる集落です。

祖納の集落内に評価の高いカフェがあったので、「手作りパン&カフェ パネス」に来てみました。

扉を開けると、ウッドテイストで素敵な店内。メニューボードをみるとかなり豊富そう。本日の沖縄そばも気になってしまいます。

迷った結果、「ヤシガニ出し汁そば」を注文。カウンター席でいただきます。いただく前から分かる蟹の香り。まずはスープから、たまらない。たまらなすぎる。このクオリティが離島でいただけるとは思っていませんでした。
美味しく一杯いただいた後は、カフェラテで小休憩。このカフェはかなりお勧めです。

小休止の後は、ナンタ浜方面を目指します。パネスのある場所が少し高台になっていたので、道中は、ティンダバナの麓にある祖納集落を横目に進みます。

ナンタ浜は祖納港にある美しい砂浜。祖納の港は、この曇天とは思えないような美しい色をしています。

与那国島の滞在も後半戦ですが、与那国島といえば「Dr.コトー診療所」のロケ地としてよく知られています。比川の集落の端に診療所はあるのですが、祖納の市街地にもロケ地スポットがあります。
この赤い建物は、その一つで、実際には個人のご自宅なのですが、「お酒・お食事処まり」として登場しています。かなり特徴的な建物が趣深いです。

Photos




与那国島では、島東部の祖納のほか、西部の久部良、南部の比川などを結ぶ「与那国町生活路線バス」が運行されています。このバスは無料で利用できるだけでなく、最終は22時台まで運行されており、どの集落に泊まっても、どの集落で飲んで、バスで帰ることができます。
というわけで、このバスに乗って、久部良へと向かいます。

バスの運行ルートは、祖納を拠点に、比川と久部良を経由し、祖納に戻ってきます。比川先回り、久部良先回りは交互に運行されていて、今回は久部良先回り便でした。
車窓から、沈みゆく今日の日本最後の夕日や、与那国空港で離陸滑走中の飛行機などを眺めていると、約20分で久部良に到着しました。




久部良。最西端の町で、飲む。
すっかり晴れ模様になった与那国。久部良の漁港から眺める最西端・西崎の夕暮れは、美しい以外の言葉がありません。

今宵は、この最西端の町・久部良で人気の居酒屋「海響(いすん)」で、与那国グルメを満喫したいと思います。

事前に予約していたので、カウンター席に案内していただきます。
まずは、オリオンビール。今日は一日ゆっくり過ごしていたのですが、やっぱり美味しい。

今日も与那国名物のかじきからいただきます。こちらは「かじきとはらごの刺身」。はらごはかじきの部位でお腹の部分です。それぞれ800円でメニューに載っていますが、ハーフアンドハーフにしていただけました。
これは、うまい。

かじき料理をもう一品。
今日は、オリオンビール×2、泡盛の順に飲んでいこうと思っていたので、まずはビールがより合いそうなものを頼んでみました。
「かじきのバター焼き」。うまいことも、ビールに合うことも、予想通り。しっかりした身と絡まりあうバター。軽いオリオンビールとの相性もピッタリです。

続いて、「車海老の塩焼き」です。
こちらの車海老が与那国産か否かはわかりませんが、与那国島では車海老の養殖がおこなわれており、特産品の一つとなっています。香ばしい匂いとパリッとした食感が食欲をそそります。

さて、ビールも二杯いただいたところで、泡盛タイムに入りましょう。
まずは「どなん」。その名は、与那国島が断崖に囲まれ、天候も不安定であるがゆえに、かつては船便によるアクセスも不安定であり、渡るのが難しく「渡難」と言われたことに由来します。
ちなみに、今日のどなんは泡盛ですが、「どなん」と言えばの黄色いラベルは、60度の花酒です。花酒とは、台湾に近く、台湾の酒文化の影響を受けて作られている与那国島ならではのお酒。
グラスに注いだとき際にできる泡の量が、花が咲き誇っているように多く見えることからその名がつけられたそうです。泡盛と製法こそ同じながら、度数が異なり、「スピリッツ類」に分類されます。

泡盛に合わせて、「長命草ひらやち」をいただきます。昨日も素麺ちゃんぷるーでいただきましたが、与那国島のご当地食材・長命草をつかった、ひらやち(平焼き)です。塩を軽くつけて、薄めの味が、泡盛ととてもよく合います。

今日はしっかり飲んでいきます。泡盛2杯目の「与那国」。
与那国島には、先ほどの「どなん」を醸造している「どなん酒造」と、この「与那国」を醸造している「崎元酒造所」の2つの酒造があります。程よい甘さを楽しめる、美味しいお酒です。

ひらやちに続いて、「ジーマミ豆腐の揚げ出し」を注文しました。
ジーマミ豆腐自体はよく食べますが、揚げ出しにされたメニューは意外と少ないような気がします。揚げ出し豆腐大好きとして、昨日に引き続き、注文しました。
お味は、落花生の香りも高く、食感は弾力もあって、なかなかに美味しい。これははまっちゃいます。

与那国の夜も深くなりにけり。最終のバスの時間までまだあるので、あと二杯は飲めそうです。
続いて、「波声」を注文しました。北海道・礼文島の水で仕上げた泡盛です。もう5年前になる礼文島の景色・味を思い出しながら、いただきます。

Image Photos




もうこれだけ食べたら、純粋な酒のアテが一番。今日のアテは、「クリームチーズわさび」にしました。

最後に、にごり泡盛の「海波」をいただいて締めましょう。与那国の海と砕ける波からその名が付けられ、口当たり軽やかな飲みやすいお酒です。

この日のメニュー表はこんな感じ。




お会計を済ませ、お店の外に出ます。とても美味しくいただけました。与那国で外せないお店と言って、過言ではないでしょう。
久部良の漁港に着くと、西崎の灯台の灯り、そして見上げれば綺麗な夜空が広がる、癒しの空間です。

しばらくすると最終の祖納行きのバスがやってきました。バスは空っぽということはなく、地元の方や観光の人にしっかり利用されているようです。

与那国2日目。天気こそよくなかったものの、食を中心に大満喫。
最終日の明日は、快晴の予報。最後まで島を満喫できますように。
(つづく)