アルプスの恵み#5

日本最後のトロリーバス

2024/8/11

黒部ケーブルカー(黒部湖駅→黒部平駅)

ダム上の道を歩き、対岸のトンネル内にある黒部湖駅に到着しました。この黒部湖駅付近では、今年で営業を終了する黒部湖の遊覧船もあるのですが、乗らずに「黒部ケーブルカー」で、先を目指します。

黒部ケーブルカーは、黒部ダム近くの黒部湖駅と立山ロープウェイと接続する黒部平駅間の、距離にして828メートル、高低差にして373メートルを結ぶケーブルカーです。雪害を防止するため、全線がトンネル内にあるため、景観を楽しむことはできません。

駅の前で少し待ってやってきたケーブルカーに乗車します。ケーブルカーはかなりレトロな雰囲気ですが、それもそのはず、1969年の開通時から同じ車両が使われているため、実に55年選手。景色は見えないので、空いていそうなあたりに乗り込みました。

立山ロープウェイ(黒部平駅→大観峰駅)

黒部平駅では「立山ロープウェイ」に乗り換えますが、駅の中に「黒部平パノラマテラス」という展望台があるので、こちらに立ち寄ってからロープウェイに乗ることにします。

駅舎の上にある黒部平パノラマテラスからは、先ほどまで居た黒部湖やダムの一部がみれるほか、これからロープウェイで向かう立山連峰の山々を眺めることができます。黒部ダム方面は、この先の大観峰駅からもよく見えますが、東側から眺める立山連峰を眺められるのはここが最後だったので、立ち寄れてよかったです。

ちなみに、パノラマテラスというだけあって、木製の椅子とテーブルも用意されていて、ここでゆっくり過ごすのも良さそうでした。

それでは、立山ロープウェイの改札に並びます。このロープウェイはどんどん立山連峰に迫っていく前方か、黒部湖や後立山連峰を望める後方か迷ったのですが、後方の窓側に立ち席を確保しました。ちょうど窓が開いていたので、立山連峰のそよ風を感じながら、綺麗に写真も撮れるという良いこと尽くしでした。

この立山ロープウェイ車内の案内を聞いていて知ったのですが、この立山ロープウェイは、ワンスパン方式という途中に支柱が一つも設けられていない特殊な構造を採用しているそうです。この方式を採用しているのはなんと全国に2か所のみ。支柱がないお陰で、駅から遠ざるほどに、大パノラマを楽しむことが出来ました。

大観峰駅には7分で到着。大観峰駅からは、その名から分かるように、黒部湖を一望することができます。屋上展望台と展望テラスがそれぞれありますが、黒部ダムからかなり上がってきているので、見晴らしにそこまで大きな違いはありません。

立山トンネルトロリーバス(大観峰駅→室堂駅)

大観峰駅からは「立山トンネルトロリーバス」に乗車します。このトロリーバスは、日本唯一のトロリーバス路線で、大観峰駅から室堂駅までを結んでいます。このトロリーバスの運行は2024年シーズンで終了ということで、終了する前に乗車が出来て、よかったです。

ちなみに、長野県側の扇沢駅から黒部ダム駅まで乗車した「関電トンネル電気バス」も元々はトロリーバスでの運行だったのですが、関電トンネル電気バスが開業時からトロリーバスであったのに対して、こちらは元々通常のディーゼルバスが使用されていました。その後、観光客増加に伴う増便で換気が出来なくなったことで、トロリーバスが導入されたという経緯があります。

このため、関電トンネルトロリーバスは1964年から2018年まで54年間運行されましたが、こちらの立山トンネルトロリーバスは1996年から2024年まで28年間の運行で終わります。

乗車したのは臨時便で、車内は空いていました。立山黒部アルペンルートでは、繁忙期にこのような臨時便が各所設定されるようで、思いのほかスムーズに行動できます。

10時30分に大観峰駅を出発。立山トンネルも関電トンネルと同じく1車線の道が続いています。途中には、関電トンネルと同様、破砕帯が青く照らされています。立山トンネルでも工事中に破砕帯に何度も遭遇し、難工事であったそうです。

バスは出発して、5分ほどで立山・雄山の直下に到着。ここで対向するバスとすれ違いを行います。この時間これから黒部ダムに行く人も多いようで、対向するバスはかなり混雑しているようでした。

その後もバスはトンネル内を走行して、10時40分、室堂駅に到着。トロリーバスは電車の扱いということで、今はここが日本で最も高い鉄道駅という扱いだそうです。これも今年限り。それでは、立山観光に出発です。