積丹半島とは・・・
北海道西部・後志総合振興局管内にある半島で、札幌・小樽からも日帰りで観光のできる人気のスポットです。
積丹半島の魅力
- 日本海に突き出した積丹半島には「積丹ブルー」と呼ばれる青い海の絶景が広がっています。
- 漁業が盛んな地域で一年を通して「海の幸」が楽しめます。特に、夏の時期に獲れる「うに」は絶品です。
目次
積丹半島に行ったら外せないド定番
神威岬
はじめにご紹介するのが積丹を代表する観光地「神威岬」です。
神威岬とは?
アイヌ語で「神」を意味する「カムイ」の名を取った積丹半島を代表する岬。
大海原にせり出すような地形となっていて、両側に日本海の大海原を眺めることのできる約770メートルの遊歩道が整備されています。強い海風が吹いていることが多いですが、初夏にはエゾカンゾウなどの植物が咲き乱れ、風光明媚な土地となっています。
おすすめの時期 |
夏の日中
体力レベル |
★★☆☆☆
アップダウンのある道を歩きます。
所要時間 |
60分~90分
神威岬の歩き方
遊歩道の入口近くに「カムイ番屋」という商業施設と大きな駐車場が整備されているので、この駐車場が起点となります。
駐車場からは歩いて、まずは「女人禁制の門」へと向かいます。ここまでは緩やかな登り坂なので、どなたでも気軽に行くことができます。
どうして「女人禁制の地」?
平安末期、奥州へ落ち延びた源義経は襲撃を受け、現在の平泉町で自害したというのが通説ですが、義経は生き延びていて、蝦夷地へ渡ったという「義経北方伝説」という伝説があります。アイヌの娘「チャレンカ」はこの源義経を慕って、神威岬まで義経一行の後を追ってきたのですが、既に次の目的地へと旅立ったことを知ります。そのことを知ったチャレンカは悲嘆の余り、「婦女を載せた船がここを過ぐれば覆没せん」と叫び、この北の海へと身を投げ、神威岩になったとのアイヌの伝説がありました。この伝説から「和人女性が神威岬を通れば海神の怒りを招き、船は遭難し、漁業も不振となる」との伝承になり、江戸時代に蝦夷地を支配していた松前藩は、神威岬より奥への和人女性の立ち入りを禁止していました。
現在設置されている門はこうした歴史・伝承を伝えることを目的に地元の積丹町が平成7年(1995年)に設置したもので、女性も通ることがもちろん出来ますが、夜間や荒天時にはこの先の遊歩道を通行止めとするための門としての役割は果たしています。
この女人禁制の門から先は「チャレンカの小径」という遊歩道して整備されていて、岬の端まで行くことができるようになっています。遊歩道は岬の地形に合わせて造られているため、アップダウンが多く、一部急な階段となっている区間や狭い区間もあるため、注意が必要です。また、両側に海が広がっていることもあり、風が強いため、帽子やモノが飛ばされないように気を付ける必要もあります。なお、往復40分程度が目安となっています。
遊歩道の両側を含む一帯には初夏の頃に見ごろを迎える「エゾカンゾウ」という植物があり、海以外にも目の癒される光景が広がっています。
アップダウンのある道を20分ほど歩いて進むと「神威岬灯台」が見えてきます。灯台が見えてくると、もうゴールは近いです。
神威岬灯台とは?
この神威岬灯台は、明治21年(1888年)に北海道5番目の灯台として点灯したもので、現在は3代目となっています。通常は無人で業務が行われています。
神威岬灯台と目と鼻の先にあるのが目的地「神威岬」です。神威岬周辺は写真のように少しだけ開けているので、300度に広がる大海原の絶景を楽しむことができます。
この神威岬の先端からは「神威岩」と呼ばれる岩があります。先ほどの「どうして女人禁制になったのか?」のところでもご紹介したアイヌの少女チャレンカが成り代わったと言われるその岩です。神威岬では、「神威岩」と合わせて記念撮影をする人が多く、写真撮影スポットとなっています。
神威岩までを見え終えたら来た道を戻ります。徐々に陸地が狭くなる「往路」の景色も良いのですが、復路の景色も「北海道の大地」を感じることができる絶景が広がっています。積丹ブルーの海も綺麗ですが、北海道の山々の緑も本当に絶景であります。
さて、帰りは女人禁制の門からそのまま駐車場に戻る方が多いですが、ここにはもう少しだけ見どころがあるので、少し立ち寄って帰ることをお勧めします。まずは「電磁台跡」です。
電磁台とは?
太平洋戦争中の昭和17年(1942年)に設置されたレーダーのことで、当時のソビエト連邦を監視する目的で造られました。女人禁制の門から少し登ったところにあります。
ここから更に高台の道が続いていますが、神威岬一帯を一望することができます。
この後は駐車場に戻ります。駐車場の脇にある「カムイ番屋」では積丹の海の幸が頂くことができます。また、番屋の外にはソフトクリームを販売している小屋があり「積丹ブルーソフト」が販売されています。お味は(想像通りではありますが)食べてみてのお楽しみ??ということにしておきましょう。
神威岬の開放時間
(開放開始)4月~11月 8時開門 / 12~3月 10時開門
(開放終了)4・8~10月 17時半 / 5・7月 18時 / 6月 18時半 /12~3月 15時
(※)最終入園は開放終了の1時間前となっています。
神威岬の場所
神威岬へのアクセス
自動車の場合
後志自動車道余市ICから51.2km、1時間10分程度
公共交通機関の場合
4月中旬~10月中旬にかけて、直通の高速バス・路線バスが運行されています。その他の期間は神威岬まで乗り入れする公共交通機関はありません。
- 札幌駅前ターミナルから北海道中央バスの「高速バスしゃこたん号」で乗り換えなし約3時間13分(1日1便)
- 小樽駅前から北海道中央バスの路線バス積丹線で乗り換えなし約2時間21分(1日2便・上記の高速バスも小樽駅前から乗車することが可能です)
- 最寄りのJR函館線余市駅前からも上記2つのバスを利用することが可能で、約1時間46分
島武意海岸
続いてご紹介する「島武意海岸」は海岸線まで下りることのできる人気のスポットです。
島武意海岸とは?
「日本の渚百選」のひとつにも選ばれている島武意海岸は、断崖絶壁が続いている積丹半島では数少ない波打ち際まで下りることのできるスポットです。駐車場からは「海岸トンネル」という暗いトンネルを通りますが、トンネルを抜けると、積丹ブルーの鮮やかな海が視界一面に広がります。なお、「島武意」の由来はアイヌ語で「シュマムイ(岩の入り江)」が語源です。
おすすめの時期 |
夏の日中
(※)午後はやや逆光になります。
体力レベル |
海岸まで下りる場合
★★☆☆☆
階段の上り下りをします。
トンネル先の展望台で帰る場合
★☆☆☆☆
歩行距離も短く済みます。
所要時間 |
15分~60分
島武意海岸の歩き方
こちらも入口付近に一帯合わせて100台規模の駐車場が設置されています。また、駐車場内にはトイレも設置されているほか、近くには「鱗晃」という海鮮丼などを扱っている飲食店もあります。
そして、駐車場から見て右側に「島武意海岸トンネル」という小さなトンネルがありますので、ここを通って、島武意海岸へと向かいます。なお、その右には「積丹岬」へ登っていく道もありますよ。
トンネル内は薄暗いですが長さもあまりなく(感覚・記憶としては70mくらいだと思います)、出口からの光も差し込んでくるので真っ暗というほどではありません。ただし、足元にはよく気を付けましょう。
トンネルを抜けると、目の前には積丹ブルーの海が広がる展望スペースとなっています。左右に分かれた展望スペースとなっていて、看板と合わせて写真撮影をしている方も多いです。
ここから海岸までは階段を下る形になりますが、ぼちぼちな高さがあるので、往復30分程度は見ておくといいでしょう。
下り始めるときはすぐ着くような気がするのですが、思いのほか高低差と距離があるので、なかなか着きません。それでも目の前に見える積丹ブルーを眺めていれば疲れることはないでしょう。
こうした景色を眺めながら歩いていると、島武意海岸の波打ち際に到着します。写真の左側に見えるのが「屏風岩」です。
帰りは来た道を戻るだけですが、思いのほか急なので、汗っかきの方などは替えのシャツをしっかり用意しておくことをお勧めします。
島武意海岸の場所
島武意海岸へのアクセス
自動車の場合
後志自動車道余市ICから43.6km、1時間程度
公共交通機関の場合
高台にある駐車場まで直通する公共交通機関は運行されていませんが、(850m離れた)最寄りの国道沿いには「島武意海岸入口」バス停が設置されているため、バスでもアクセスすることができます。波打ち際まで下る場合は、駐車場まで登って、その後下って登り、最後にバス停まで下ることになるので、アップダウンが多いので注意が必要です。
- 札幌駅前ターミナルから北海道中央バスの「高速バスしゃこたん号」で乗り換えなし約2時間44分(1日1便)
- 小樽駅前から北海道中央バスの路線バス積丹線で乗り換えなし約1時間52分(1日4便・上記の高速バスも小樽駅前から乗車することが可能です)
- 最寄りのJR函館線余市駅前からも上記2つのバスを利用することが可能で、約1時間17分
絶品!積丹の「うに丼」
積丹の絶景スポット2つを紹介しましたが、「積丹ブルーの絶景」と並んで、積丹観光の定番となっているのが夏の時期に食べることができる「うに丼」です。
積丹の「うに丼」の魅力とは?
北海道は一年を通して、どこかで美味しい「うに」が獲れると言っても過言ではないほど、「うに」が美味しい地域ですが、積丹のうにはそんな道民をも虜にする絶品なのです。
どうして積丹の「うに」が美味しいか。それは積丹ブルーの綺麗な海で、海藻・昆布類を食べて育ったうにだから、というのが理由のよう。漁期は6月~8月の3か月間なので、夏に積丹に出かけた際は必食のグルメです。
積丹で「うに」を提供しているお店
お食事処中村屋
地元の漁師が経営するお店。うに丼の提供時期は6月~8月で、貴重なエゾバフンウニ「赤うに丼」とむらさきうにを使った「生うに丼」の2種類が提供されている。なお、ほかの海鮮丼もあります。
赤うに丼と生うに丼では価格差が倍近くありますが、エゾバフンウニを食べたことがない方には是非とも「赤うに丼」をお勧めします。濃厚で甘みが強く、国内のうにでも最上級なものです。
店舗情報
- 住所
- 北海道積丹郡積丹町日司町34-1
- 営業時間
- 9:00~16:00 (L.O. 15:00)
- 定休日
- 毎週木曜日
- 冬季休業
- 公式ウェブサイト
アクセス
「島武意海岸」の駐車場から神威岬方面に向かって、2.5kmの地点にあるため、観光途中での訪問に便利です。
- 自動車の場合
- 後志道余市ICから42.7km・約55分
- 公共交通機関の場合
- 北海道中央バス積丹線「日司」停留所徒歩すぐ
地図
もっと積丹を知るスポット
まだまだ積丹にはお勧めのスポットがたくさんあります。
温泉に入ろう!
神威岬・島武意海岸などがある積丹町には「岬の湯しゃこたん」があるほか、半島東部・古平町に「ふるびら温泉しおかぜ」、西部・神恵内村に「珊内ぬくもり温泉」という日帰り温泉施設があります。また、西部・泊村には複数の温泉旅館が残っている「盃温泉」もあります。
「岬の湯しゃこたん」
※「岬の湯しゃこたん」は令和4年(2022年)1月末を以て休館となる予定です。
島武意海岸と神威岬の間にある「野尻集落」の高台に位置する「岬の湯しゃこたん」。温泉の特徴としては、(海に近いからか)塩分濃度が極めて高く、保温効果が高い点です。
また、露天風呂からは日本海が見ることができるのも特徴の一つです。上の写真は休憩室で撮影したものですが、露天風呂からもほぼ同じ眺めを見ることができます。
店舗情報
- 住所
- 北海道積丹郡積丹町野塚町212-1
- 営業時間
- 夏季(4月~10月)
- 11:00~19:30(最終受付19:00)
- 冬季(11月~3月)
- 11:30~19:00(最終受付18:30)
- 夏季(4月~10月)
- 定休日
- 毎週水曜日(冬季は木曜日も休業)
アクセス
小樽・余市方面から来て「島武意海岸」方面と「神威岬」方面との分かれ道の近くにあり、大変便利です。
- 自動車の場合
- 後志道余市ICから40.8km・約45分
- 公共交通機関の場合
- 北海道中央バス積丹線「岬の湯しゃこたん」停留所徒歩すぐ
地図
おすすめ観光ルート&アクセスガイド
ここでは「積丹半島」に行きたい!という方向けの観光プランをご紹介します。
札幌発着日帰りドライブ
積丹半島には鉄道路線がなく、バス路線も限られているため、基本的にはクルマでの移動がお勧めです。
プランニングのポイント
- ランチは夏なら「うに丼」がお勧めですが、シーズンの週末は非常に混雑するため、行列を避けるには、時間をずらす必要があります。
- 積丹観光の定番&必見の「神威岬」・「島武意海岸」に加え、時間に余裕があれば「黄金岬」などの近隣スポットを組み込むのもお勧め。
- 往復ともに半島東側の道を使うのがメジャーですが、復路は西側の道を使い一周するのもお勧め。
プラン例
- 【9:00】札幌駅を出発
- 札幌駅からは創成川通を北上し、札幌北ICから札樽道に乗ります。小樽JCTで後志自動車道に乗り換えます。
- 【9:50】余市IC
- 後志自動車道は余市ICで下ります。余市からは国道229号線で積丹半島へ向かいます。車窓の右側には美しい景色を眺めることができます。
(なお、2021年6月現在は余市IC以降は未開通となっています)
- 【11:00】波打ち際まで下りられる「島武意海岸」に到着
- まずは「島武意海岸」へ。展望デッキでサクっと見るのも良いですが、波打ち際まで下って積丹の海に触れるのもお勧めです。
- 【12:00】ランチは贅沢うに丼。
- 積丹町内にはご当地の「うに」を食べられるお店がたくさんありますので、お気に入りのお店でランチにしましょう。なお、シーズン時期は混雑するので、早めのランチとするのもお勧めです。
- 【13:30】神威岬で「積丹ブルー」を目に焼き付ける。
- 食後は神威岬へ向かい、
- 【15:00】積丹の湯に浸かって、疲れを癒す。
- 帰りは積丹半島や余市にある温泉で疲れを癒すのがお勧めです。
- 帰路へ
- 来た道を戻るもよし、西側をぐるりと回って帰るもよし。お好きなルートで帰れます。
このプランの旅行記
小樽発着「列車」と「バス」で行く積丹旅行
ドライブがおすすめの「積丹半島」ですが、札幌や小樽から直通のバスも運行されているため、「列車」と「バス」を利用しての旅行をすることもできます。
プランニングのポイント
- 積丹地域のバスは本数が非常に限られているため、事前にバスの時刻を確認しておく必要があります。
- 観光シーズンには「うに丼」を扱うお店は行列・待ち時間が長く、時間を読みづらいため、「うに丼」を食べる場合は時間に余裕を持たせる必要があります。
- 上記の問題を解決し、時間にとらわれない旅をするには、積丹エリアでの宿泊を検討されることをお勧めします。
プラン例
(※)記載の時刻は2021年6月1日現在の時刻です。ご旅行の場合は最新の時刻表をご確認下さい。
- 【9:00】小樽駅前発神威岬行きに乗車
- 島武意海岸・神威岬方面まで向かうバスは9時が始発。一方で、積丹町の中心部である美国エリアまで向かうバスは7時50分発があるため、このバスを利用し、美国地区の黄金岬に立ち寄るのもお勧めです。
- 【10:52】島武意海岸入口バス停で下車し、島武意海岸へ。
- バス停から島武意海岸までは1kmもありませんが、高低差があるため注意が必要です。
- 【12:04】島武意海岸入口バス停から神威岬行きに乗車。
- 滞在時間が1時間12分と短いため、海岸まで下った場合はかなりギリギリになると思われますので注意が必要です。なお、この後の便は13時52分発となので、その便を利用する場合はお昼ご飯も島武意海岸周辺で済ませましょう。
- 【12:33】神威岬バス停に到着。神威岬観光&ランチ。
- 折返しのバスは2便あるため、1便遅らせてゆっくり滞在するのがお勧めです。神威岬で「積丹ブルー」を見つつ、「カムイ番屋」で海鮮ランチと、ゆっくり過ごしましょう。
- 【15:17】神威岬発小樽行きのバスで帰路に。
- 一つ前は13時42分発札幌直通の高速バスで便利ですが観光時間を考えると最終便がお勧め。なお、土曜・休日は美国地区からもこのバス(15:17神威岬発)が最終となるので、余市まで途中下車の旅は出来ません。
- 【14:31】神威岬発岩内行きのバスもお勧め。
- 神威岬には積丹半島西側のバスも乗り入れているため、このバスを利用して岩内ターミナルへと向かうのもお勧め。遠回りにはなりますが、岩内から札幌行きの高速バスにも乗換可能なので、ぐるっと一周旅も可能です。
記事についての注意事項
- 2021年6月1日現在の情報をもとに作成しています。
- 筆者が個人的に集めた情報で作成しているため、記事に誤りがある場合がございます。実際にご旅行される場合は、公式の情報を事前にご確認いただくことを強くお勧めいたします。なお、記事の誤りを見つけられた場合はご連絡いただけますと助かります。